イヌイットの旦那さんが「明日、本当のイヌイットの生活をしているところに行くけど興味あるか?」と聞いてきたので、是非連れて行って欲しいとお願いしました。
翌日、巨大なそりに大量の荷物を積み、そこに私たちを載せてスノーモ―ビルで2時間ほど大氷原を走りました。目印も何もない氷原をどうやって目指す方角へ向かっているのかは不明でしたが、延々と凄いスピードでスノーモービルは走り続けました。
突然、色とりどりのテントや写真で見慣れた「イグルー」が現れました。
イヌイットのおじいちゃんやおばあちゃんと子どもたちが生活していました。
イヌイットの旦那さん曰く
「イヌイットとしての生活を忘れられなくて、そしてその精神を伝えるためにここにやって来て子どもたちに文化と誇りを教えているんだよ。」
私は氷に穴を開けてイワナに似たサケ科の魚釣りをしました。夕方には渡り鳥の群れを氷で作った壁に隠れておじいちゃんが散弾銃で撃ち、その回収を子どもたちとハスキー犬と一緒に氷の上を走りまわりました。
妻(まだ結婚前)はテントの中でおばあちゃんたちと一緒にドーナツのような油で揚げたお菓子を作っていたそうです。
お昼ご飯はアザラシやカリブーの生肉を食べるのかと期待していましたが、残念ながらカリブーのステーキでした。
おじいちゃんがカリブーの解体をしていたので興味深く見ていると「お前は魚釣りも鳥の回収も頑張ったから、これをやる。」と肉を切っていた「ウル(ulu)」と呼ばれるエスキモーナイフをいただきました。
白夜の中(夜でも明るい)をスノーモービルで帰ってきました。
日本人の奥さん曰く「先住民族のイヌイットはカナダ政府から衣食住全て手厚く保護されているんです。だから仕事をしないで、アルコール中毒やドラック中毒になる人が多いんです。
これではいけないとイヌイットとしての『魂』を旦那さんを始めとした大人たちが古老のイヌイットから子どもたちに教え伝えようとしているんです。言語も学校でイヌイット語の授業が始まりました。」
イヌイットのおじいちゃんやおばあちゃん達はセントラルヒーティング完備の高気密住宅より「イグルー」に住むほうが落ち着くのかもしれません。
魚や鳥のハンティングの時も心から楽しそうでした。狩猟民族の血が騒ぐのかもしれません。
女たちは男たちが狩ってきた獲物を子どもたちと一緒に楽しみに待っていたのしょうか。
私たち『いなか原住民』も子どもたちにこの地域の魅力、文化、誇りを教え伝えていかなくてはならないと思います。
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